弊社はレーザーによるケーブル・ワイヤー加工におけるグローバルリーダーとして、用途に応じたレーザーの広範囲な知識を有しています。レーザー加工の有効性は、材料、レーザーの種類/波長、出力および焦点によって異なります。
レーザー加工において大事なポイントは、除去したい被覆材に対し作用し、その下のレイヤーで反射するレーザーのタイプを見つけることです。 レーザーの波長 とパルス、そして照射時間の組み合わせにより、多種多様な加工が実現可能です。 これには以下が含まれます:
X線 | 紫外線 | 可視光 | 赤外線 |
冷たい | 熱い |
すべての材料を気化させる |
金属をカットする | 絶縁材を溶かす/沸騰させる |
赤外線部分の光を吸収するポリマー – 材料や色を問いません。 これらは紫外線部分の光も吸収します。これらの波長の間では、材料によって様々な反応が生じますが、全体的な傾向としては、大部分は反射するか、導電します。ポリマーはスペクトルの両端でレーザー光を吸収しますが、その物理的な反応は様々です。赤外線波長では、バラバラになるまで光が高分子を振動させます。レーザーは熱の形式を効果的にコントロールできます。紫外線スペクトルでは、原子中の電子が光を吸収し、放出して、ワイヤーの表面から原子の除去を誘発します。付随して発生する熱は非常に少ないので、隣接する材料は概ね影響を受けません。
金属はすべて、赤外線を非常に強く反射し、近赤外線と可視領域光では強く吸収し、紫外線を部分的に吸収します。ポリマー材料の絶縁体を金属から除去するには、赤外線が最適です。赤外線はプラスチックにより強く吸収される一方で、導体やシールドに反射するため、最適なレーザー源になります。ほとんどの用途では、「熱」は問題となりません。多くの医療用途では、熱による損傷は問題になる場合があます。従ってそのような用途には、絶縁体を「冷たい」蒸発を行うため、より高価な紫外線レーザーが使用されます。
マシン | レーザー | 用途 |
Mercury | 赤外線 (CO2) | 絶縁体ストリッピング |
Gemini | 近赤外線 (YAG) | 金属カット / エナメル除去 |
Odyssey | 紫外線 | 細いワイヤーのエナメル除去 / 細いワイヤーのカット |
正確にカットするには、レーザー光を適切な個所に集中させる必要があります。極めて大型のレーザーは別となりますが、これは主にレンズを使用してケーブル・ワイヤー上に光を集中させることで達成されます。これは、虫眼鏡を使って太陽光を集光し、紙を燃やす原理と全く同じです。太陽光で紙を燃やす際、決められた線を焦がすには、紙に対してレンズを移動する必要があります。
ワイヤーを剥ぎ取るには、ワイヤーの円周を正しくカットする必要があります。これは通常、反対側からカットすることにより達成されます。非常に厚いワイヤーの場合は、ワイヤーかレーザービームを回転させて円周を正しくカットする必要があります。しかし、薄いワイヤー (直径が 5 mm未満) では、2つの側面をカットして、2つのカットをつなぐだけで十分です。
基材に対してフォーカスしたレーザースポットを移動するには、主に3つの方法があります。
最初の方法は簡単ですが、加工対象の移動が必要となるという問題点があります。大きく長いケーブルでは、これは難しい要求となります。小さなケーブルであっても、加工対象の移動は加工品質を低下させる事があるため、望ましくありません。
レーザーノズルはレーザー光をワイヤー上でフォーカスさせます
2つのレーザーノズルを装備した2軸マシン
第二の方法は、レーザーワイヤーストリッパーを作る場合に使用される最も一般的な方法です。レーザービームは一連のミラーによってレーザーノズルに導かれます。ノズルには光をワイヤー上でフォーカスするレンズが組み込まれています。1つまたは2つの軸でノズルを移動して、ワイヤーを幅方向にカットするか、場合によっては長さ方向にカットします (以下を参照)。ワイヤーの2つの側面から剥ぎ取るには、レーザービームを分割して2つのノズルに導く必要があります。これは部分的に反射するミラーによりビームを 50:50 に分割するか、ミラーをビームの内外に「往復」させて、ワイヤーの剥ぎ取りを、片側からもう一方の側に、連続的に行います。この方法には、2つのレーザービームの重なりが比較的に安定するという利点があります – ただし、2軸マシンのセットアップが難しくなる場合があります。欠点は、レーザースポットの最大加速度を制限するため最大速度が制限されることです。その一方で、レーザースポットサイズを犠牲にすることなく、広い加工領域を簡単に実現できます。
三番目の方法では、ガルバノメータースキャナ (または短縮して「ガルボ」) と呼ばれるデバイスがビームを誘導します。 ガルボは、電磁ガルバノメーターに搭載されたミラーです。 ガルボコイルに電流を流すと、一定の偏向が生じます。 レーザーミラーは高い精度と速度で傾斜させることができます。 これにより、レーザースポットを高速で偏向することができます (光学系を移動する方法より100倍以上速い)。
2つのガルボを使用することにより、レーザースポットは2軸上で方向付けることができます。 ミラーの位置がどこにあっても、レーザー光が同じ平面でフォーカスされるようにするため、「f シータ」レンズと呼ばれる特殊な形状のレンズが使用されます。 この方法を使用する主な理由は、レーザースポットの速度を高速にするためであり、これが絶縁材の領域を焼くためにレーザースポットを使用する場合に、必要になります (領域アブレーション – 以下を参照)。 作業エリアを(特定のレーザースポットサイズに対する割合として)犠牲にすることによって、この重要な長所が実現されます– ただし、注意深く設計することにより、これを幾分緩和することができます。 レーザースポットの高速運動も、パーツの熱損傷を最小限にするために重要です。
ワイヤーをストリッピングする (またはシールドをカットする) 場合 – 主に次の3つの方法があります。
クロスカットのみ。 これは同軸ケーブルの例です。 レーザービームはケーブルに直角に移動します (上から下に)。 2つのカットを入れます– 1つはジャケット用、もう1つは内部の誘電体用です。
カット後に、オペレータが手で絶縁体を引き抜くことができます。 終了の直前までこれを放置することにより、シールドや残された導体の磨耗を防ぐことができます。
絶縁体が接着されていない場合や、スラグ (廃棄物) が短くて摩擦があまりない場合には、クロスカット法が役に立ちます。
最も簡単な光学系の移動マシンは、レーザー光を1軸上 (ワイヤーの横方向) でのみ移動します。 ワイヤーに沿って除去位置を設定するには –移動可能なバックストップに対してワイヤーを押し上げます。 バックストップ位置を変更することにより、除去する長さが変わります。 より高度なマシンはレーザースポットを2軸 – ワイヤーの横方向と長さ方向に移動することができます。 これによりワイヤーに沿ってスリットを入れることができます – それだけではなく、固定したバックストップに対してケーブルを配置することができるので、それにより除去位置をプログラムすることも可能です。
長いスラグには (一般的に、ケーブルのジャケットを除去する際に見られます) – 絶縁体を引き抜くことが困難なので、この場合もケーブルの長さ方向にスリットを入れることが役立ちます。 スリットを入れることにより、スラグをケーブルから剥離することができます。 2つのクロスカットをスリットでつないで作ると、ケーブルのジャケットにウィンドウを作ることができます。
接着された絶縁体の場合 – 絶縁体を剥離することはできません – ジャケットにスリットを入れても同様です。 この場合は、絶縁体を完全に気化させる必要があります。 レーザービームはワイヤーとこの「アブレーションライン」に対して直角に高速で移動し、絶縁体を完全に気化させるためにワイヤーに沿ってゆっくりと移動する必要があります。 この方法はクロスカット&スリットより遅く、残渣が残ることがあるため、望ましい方法ではありません – しかし、一部の接着された材料では、他に選択肢はありません。 典型的な例としては、モーター巻線に見られる接着されたエナメル絶縁体があります。 レーザーを注意深く選択することにより、残渣の問題を回避できます – しかし、最高品質の除去には、できるだけスラグの引き抜きを使用します。
マシン | 光学 | 用途 | 材料 |
Mercury-2 | 光学系の移動 – 2軸 | クロスカット&スリット、ウィンドウ成形 | すべてのポリマー |
Mercury-4 | ガルボスキャナ | Cクロスカット&スリット、ウィンドウ成形、領域アブレーション | すべてのポリマー |
Mercury-5 / Mercury-6 | 光学系の移動 – 2軸 | クロスカット&スリット、ウィンドウ成形 | すべてのポリマー (Mercury-4の後) |
Gemini-2 | 光学系の移動 – 2軸 | シールドカッティング | 金属 |
Gemini-4 | ガルボスキャナ | シールドカッティングと領域アブレーション | 金属とエナメル |
Gemini-6 | ガルボスキャナ | 金属カッティング | 金属 (Gemini-4の後) |
Odyssey-4 | ガルボスキャナ | 領域アブレーション | エナメル |
Odyssey-7 | 光学系の移動 – 2軸 | クロスカット&スリット、ウィンドウ成形 | 金属とポリマー (Odyssey-7の後) |
同軸ケーブル、特にマイクロ同軸ケーブルからシールドをカットするのがレーザー加工の主な用途です。 同じ原理に基づく2つの方法があります。 最初の方法では、、シールドに固くかつもろい層を作成するためにシールドされた導体を半田槽に浸けます。 1ミクロンの波長 (近赤外線) を持ったパルスレーザーが半田付けされたシールド上に高速で通過します。 1ミクロンの光はメタリックシールドにより強く吸収され、それに小さな溝がカットされます。 この溝または刻印は分割線を形成するのに十分であり、シールドはこの弱い部分でポッキリと折れます。 このプロセスはガラスにカッター線を入れることと類似しています。
さらにシールドが引き剥がされると、内部の絶縁された導体が現れます。 二番目の方法では、絶縁体を直接カットするために類似のレーザーが使用されます。 この「半田なし刻印」と呼ばれる方法は、ケーブルの端を半田に浸ける手作業の手順が省けるため、生産上の多くの利点があります。 Laser Wire Solutions は、標準的なレーザー刻印と半田なし刻印の両方のエキスパートです。 シールドカッティングについてさらに読む。